私はビスキュスmama

最愛の愛犬を亡くした主人公の物語である短編小説『私はビスキュスmama』の連載と日常ブログ

私はビスキュスmama #5

最愛のリリアンを亡くし、深刻なペットロスに陥っている中

それでも私の人生は大きく動いて行った

 

 

リリアンを突如失った事やビスキュスのママになった事もそうだが、人生何が起こるか分からない

 

 

何もやる気の起こらない無気力にただただ生きていても、時は流れている

 

そして私の人生も進んでいる

 

 

 

まるで他人事の様に、そう感じていた。

 

 

 

リリアンを亡くしその後間もなく私は結婚をした

 

ビスキュスを迎える前の事だ

 

 

 

自分が結婚する日が来るなんて…

 

 

 

リリアンを失い喪失感に暮れている私には、幸いにも支えてくれる彼が居た

 

 

結婚なんて全く考えていなかった私だが、リリアンを失ってからは彼と暮らす様になっていた

 

 

 

一人でなんて生きていける精神状態ではなかった

 

それに一人になる事が凄く怖かった

 

 

 

一人になったらリリが居なくなった悲しさに襲われ狂ってしまう…

誰かと居ないと、

本当の独りぼっちになってしまう…

 

そう思っていた。

 

 

 

一緒に暮らし始め暫くすると、結婚の話が出たのだった

 

 

”結婚”と言う人生の一大イベントなのに、

私は全く深く考えていなかった

 

 

正確には、考えれなかったと言う方が正しい。

 

 

 

結婚しようと言う彼の心理には

"どうしよもない程落ち込んでいる私を少しでも幸せにしたい、前を向いて欲しい。"

と言う様な思いがあるのが分かっていた

 

 

そんな彼の前では私は極力着丈に振る舞い、結婚にも喜んだ

 

 

ただ、

私には結婚を真剣に考える程、心の余裕は無かった。

 

 

 

自分はものすごく自由人な性格で、結婚生活が向いていないかも…

なんて言う事も、当時は何も考えなかった

 

 

 

”結婚して幸せになりたい” ”幸せな結婚生活が待っている”

そういった期待もまるで無い

 

 

『リリが居ないこの人生に幸せなんて他にない。』

そう思っていたからだ

 

自分が幸せになるなんて、全く考えられない自分が居た

 

 

しかし彼の事は好きだし、今はどうしても一人になれない。彼が必要だ。

 

 

 

 

そうして私は、

流れのままに彼と結婚をしたのだった

 

 

 

 

 

リリアンの死に何か意味があるとすれば…なんだろう

 

私は不意にそんな事を考え始めたのだった

 

 

 

"私の彼との結婚を促すため…"

 

 

確かにリリアンの死をなしに、私に結婚何て言う人生は無かったと思う

 

不思議と彼と出会ったのもリリアンのお陰であった。

 

 

 

『愛するリリの死を無駄には出来ない』

 

 

 

私はリリアンの死を自分の結婚に紐付け、必死に意味を見出だしていた。

 

 

何か自分が納得出来るシナリオが必要だったのだ

 

 

 

どうしてリリアンは唐突に私の元から居なくなってしまったのか

なぜ私はリリアンを失わなくてはならなかったのか…

 

 

その答えが自分の結婚であるかの様に、私は自分を納得させていた

 

 

 

それから私は

 

もしリリの死に意味があってそれが私の結婚だとしたら、幸せにならないと…

リリが命をかけて築いてくれた私の人生を台無しになんて出来ない。

 

そんな思いから前を向き始めた

 

リリアンの為にも彼と幸せを築こうと思え始めたのだった。

 

 

 

『リリの死を無駄にだけはしたくない』

 

ただその一心で。

 

 

 

 

しかし私の深い悲しみは、その後もまだ続いて行くのであった

 


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