私がシャネルの鞄の写真を撮り続けるのには理由がある。
私はスピリチュアルや占いなど、そういった部類がとても苦手だ
ものすごく物理的な人間だと自分でも思う
最愛のリリアンを亡くしてから、私は重度のペットロスになっていた
毎日喪失感や罪悪感に襲われ
生きているだけで精一杯と言っても過言ではない程、空っぽな人間になってしまっていた
‘’少しでも気持ちを楽にしたい‘’
‘’このままでは生きているのが辛すぎて死んでしまいそう…‘’
しかし私はリリアンの居ない
自分にとっては無意味とも感じられるこの世界から、一向に抜け出せずに居たのである
時間が解決してくれる
時が経てば受け入れられる様になる
そんな事を周りから何度も聞いた
同じ境遇の人はどう乗り越えたのであろう。むしろ乗り越える方法はあるのだろうか。
内心、私には乗り越えようと言う思いさえ無かったが
仕方がないながらも生きているので、責めて
少しでもこの罪悪感から楽になる方法があるならば…
知りたいと思った
そんな思いから、ペットロスに関する情報を本やネットで見るようになったのだ
しかしここで頑固な物理的思考な私が邪魔をした
亡くなったペットは、その後もあなたのそばに居る
あなたに会いたくなったらいつでも会いに来れる
あなたが涙を流すとき、それは亡くなったペットが会いに来ているからだ
亡くなったペットは虹の橋を渡り、幸せいっぱい生活している。そしてそこで飼い主に再会するのを待っている
すごく素敵な話だ。
本当にそうなのかもしれない。
見える人には見えているのかもしれない。
本当にそうであって欲しいし、そうだと信じたかった
ただ現実的すぎる、見たものしか信じられない可愛げのない私には到底無理だった。
素直に信じられる信じようと思える人間だったら、どれだけ良かった事か…
‘’そう信じよう!‘’
と思ってみたりもしたが、
思ってみようとした所で自分の気持ちは全く楽にはならなかった
それはそうだ
心は動かすものではなく、動くもの…
そうして私はまたリリアンの居ない暗い世界に戻って行ってしまった
リリとずっと一緒に居たい。リリの居ない人生なんて考えられない。
私はリリが居ないと私が成り立たない…
そう私の頭の中で永遠に唱え続けられるセリフ
しかしある日突然、私はある事に気が付いたのだ
…そうだ。
リリはここに居る!!
私が目を向けた先にはリリアンの遺骨があった
この遺骨は紛れもなくリリ。
8年間共にしたリリは姿は違えど、ここに居る!
私は、この先自分がどうすれば生き続けられるか必死だった
生き続けるためにはどうしても、リリアンの存在が必要だったのだ
リリアンの存在が確認出来る”何か”が必要だった
リリアンの居ないこの世など考えられなかったから…
私にとってリリアンの遺骨は、リリアンの存在を確認するための物になっていた
この遺骨はリリ!
なら、この遺骨となったリリと共に生きて行けばいい
だってこれはリリその物だし。
リリはここに居る。
論理的な私は当然、無宗教で無信仰。
遺骨の埋葬や、成仏するためのお墓づくりなど
そんな考えは私には当然ない
そうだこれからはリリの遺骨と共に生きて行こう
そうして私は、当時のリリアンとの暮らしの様にどこへでも一緒に行けるよう
鞄を買う事にしたのだ
それが、これからも自分一人になってしまったこの世界で生きて行く為の
心の支えになる!
そう思ったのだった
これからの新しいリリのお家になる鞄かー。
ずっと一緒だから丈夫なのにしょう
…あ!リリに合う、素敵な鞄ぢゃないと。
私は途端に元気になったのだった
そうして私は、リリアンの遺骨が入るだけの
小さなシャネルの鞄を選んだのだった
”これでどこへ行くにもいつでも一緒に居られる。リリと一緒に生きて行ける”
私は少しづつ元気を取り戻した
リリと一緒だと思えたから。
もしかしたらスピリチュアルの世界の様に、本当に
亡くなったリリアンはこんな事しなくても一緒に居てくれるのかもしれない
ただ、それは不確かな事…
私にはその不確かな事を信じる事が出来ない。
自分が生きて行くためには、自分が納得できるリリの存在がどうしても必要
だから他人がどう思おうが
私はこのリリの遺骨と共に生きて行く
私はリリアンとの暮らしを再び手に入れたと言う心の安定から、また少しづつ生きる元気を取り戻していったのだ
私にとって特別な意味のあるシャネルのかばん
私はリリアンの写真を撮る様に、その後もシャネルの鞄の写真を撮り続けた
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