私はビスキュスmama

短編小説『私はビスキュスmama』の連載と日常ブログ

私はビスキュスmama #2

ビスキュスのママになる前、私はリリアンと言う名前の犬を飼っていた

私は8年の間、”リリアン”のママとして生きてきた

 

 

アプリコット色のフワフワの毛のリリアン。

 

見た目はまるでぬいぐるみの様に愛らしく、性格も本当に犬と言って良いのかと思うほど犬らしくない子であった

 

 

独り身の私にとって唯一かけがえのない、いつでも一緒に居てくれるまるで子供のような存在、それがリリアン

 

私がリリアンに子供に接するかのようにしていたのも要因かもしれないが、リリアンもまた犬らしからぬ、

お散歩は抱っこが一番。犬と戯れるなんてもっての外で、他の犬が近づいて来ようものなら私に助けてと抱っこをせがむほどであだった

 

 

そんな関係性を築いた私とリリアンは、”母と子、人生のパートナー”として8年間共に暮らしたのだ

 

 

 

リリアンとの8年間・・・

 

 

それは幸せなんて言葉では到底言い表せられない

 

 

無敵?

 

 

リリさえ居ればそれだけで幸せ、と言うメンタリティで私は生きていた。

 

 

私はリリが居てくれるだけで幸せ

でもリリにも幸せであって欲しい

 

 

リリの為に生活環境も変え、リリの為なら惜しみなくなんでもやってきた

 

 

毎日もっともっとリリを幸せにしたいと思い、

 

”何をして欲しいか

何が食べたいか、どこへ行きたいのか‘’

 

と何度リリが話せたらなと思ったことか…

 

 

 

私にとってリリは自分の命以上に大切な存在だったのだ。

 

 

 

 

しかし私のリリアンのママとしての人生は、何の前触れもなく途端に終わった

 

私は自分の命ほど大切なリリアンを失ったのだ

 

 

それは津波に吞み込まれたかのようにあっという間の出来事だった…

少なからず私にはそう感じた。

 

 

 

何があったのか、何故こんな事になってしまったのか

 

私は未だに分からない

 

 

私が今分かる事は、

リリアンが私の隣に居ない

と言う事…

 

 

 

そんなつもりはなかった…

 

それがリリにとって一番良いと思ったから、自分の気持ちなんてどうでも良くてとにかくリリの事だけ考えた。

 

リリを守りたくて、毎日ほとんど寝ていない中で必死に頑張った

 

 

 

だけど…そんなつもりは無かったけれど、、、

 

 

私は自らリリの命を手放したのかもしれない

 

それがリリにとって一番だと思ったから…

 

 

 

 

リリを心の底から愛していたから

 

 

 

 

そうして私はリリアンの居ない世界で生きていかなければならなくなったのだ。

 

 


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